谷の近況

2013年10月

 10月27日にラホールから再び高速バスに乗ってイスラマバードに戻ってきたら、着いて早々、ペシャワールで国連関係の仕事をしているフォジアのご主人から、「アキコ。今、カイバルパシュトゥーンクヮ(州)にSecurity Alert (治安警戒)が出ていて、特にチトラールは危ないということだから、外国人はチトラールに行けなくなっているよ」と言われた。せっかくのカラーシャ谷に向けてのポジティブな気分がへし折られてがっくりきている。

 数日前にボンボレットの弟たちや、ルンブール谷のサイフラーさん、ヤシールと電話で話したときは、ぼちぼちバックパッカーがカラーシャ谷を訪れているということだったので、治安警戒の話は予想外だった。

 

 タリバンが何か企んでいるとの情報をパキスタン政府がつかんでのことらしいが、もしタリバンがアフガン国境から越えてくるんだったら、ちょっと時期が合わない。国境に横たわる4千メートル以上の山々にはすでに雪が舞い降りていると思うし、わざわざこの時期になって、ど田舎のチトラール地方にタリバンが悪さをしにくる理由がちと思い当たらない。しかしながら、今までもそうであったように、実際は現地は何の問題はなくとも、パキスタン政府の政治的な思惑で治安警戒を発令する場合が多いし、いったん治安警戒が発令されたら、地方の行政、警察はそれに従わねばならない。

 

 イスラマバードからサイフラーさんの家に電話を入れたら、ヤシールが出て「そう言えば、おとといチトラールの町で欧米人のツーリストを見かけたが、彼はカラーシャ谷に入りたいのに許可がおりないと言っていた。」と言う。

 

 その後また電話した際、ボンボレット谷に泊まっている大勢の日本人観光ツアーがうちの村に来て、「AKIKOの家」を見に行っていたとの情報があり、「なんだ日本人ツアーが来ているんだったら、問題ないじゃない」といったん安心する。それにしても日本人ツアーが私の家に来るんだったら、事前にメールででも連絡をくれても良さそうなのにね。

 

 と安心していたら、実は、その日本人ツアーはチトラール警察からなかなかカラーシャ谷に入る許可が出ず、やっと隣のボンボレット谷のPTDCホテルに1泊だけすることを認めてもらった。何人のツアーだか知らないが、彼らにはぞろぞろと十数人の護衛の警官が付いていたという話もきいた。

 

 サイフラーさんがチトラールに行った際に、このSecurity Alert についてチトラール警察に聞いてもらうことになっていたが、サイフラーさんはチトラールの警察署に行くにはいったが、チトラール警察署の副署長が心臓マヒで突然亡くなったので、警察はごたごたしていて、しかも署長も誰も責任者がおらず、何もわからなかったということだ。

 

 チトラールのツーリストインフォメーションで働いているワヒードによれば、ルンブール谷の我らの発電所は決壊していた水路を男たちが直して、2日間ほど電気が来ていたが、今度は発電機が焼けて壊れてしまったので、また電気なしの状態だそうだ。

 

 先ほど、『AKIKOの家」の図書室以外の部屋の管理をしてもらっているグリスタンからも電話があった。「8月の土砂はまだ1階と2階のトイレにはびっしり泥が詰まっている。ジャマットは外を片づけてくれて、自分も5、6日かけて泥をどかしはするが、寒いし、なかなかはかどらない」と言うんで、「か細いあんたがする仕事じゃないでしょ。日当つけるから男たちに頼んでやってもらって」と指示する。

 

 あーあ、村にスムーズに帰れたとしても、やることが山積みじゃわい。

 

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コメント: 2
  • #1

    杉野ちせ仔 (水曜日, 30 10月 2013 17:59)

    でも、文章読んでると、うれしいそうな感じが伝わってきますよ。ちせ

  • #2

    kalashapakistan (木曜日, 07 11月 2013 15:46)

    あんまい愉しゅうなかよ。ほとんど家の中にいるけん、飽きまくっとる。今度の日曜日の便でチトラールに飛ぶ予定ばってん、天気の悪かけん、飛ぶかどうかわからん。