2014年3月
地球温暖化のせいであろうか、今年のルンブール谷の冬は雪もあまり降らず、天気の良い日が続いた。
昨年夏に谷を襲った土石流の被害で、チェックポストからルンブールに入る道路はかろうじて車が通れはするものの、一部は完全に決壊していて、冬の間水量が少なくなっている川の端っこを通らねばならないし、数カ所の路肩が決壊寸前にあり、非常に危ない状態だった。
1月に道路補修のために州政府からルンブール側だけで550万ルピーの予算が下りたという話をきいていたので、村人たちは「雨が多くなる3月になる前に、早く危ない箇所の道路を補修したらいいのに」と話していた。
しかし、自称ペシャワール大学卒で、パキスタンの汚職や不正行為をすっかり身につけ、アユーン・カラーシャ谷の地域開発に関わる組織をハンドリングしているルンブール出身のカラーシャ人が、請負いが決まっていた道路工事を途中で自分の組織が請負えるように州政府に取り付いているので遅れている。
このカラーシャ人は今の州政府での政権を握っている政党の地域エージェントでもあるのだ。いずれはマイノリティ代表の州議員になる可能性がある。(注:昨年3月のブログに彼について書いてあります。http://kalashapakistan.jimdo.com/2013/04/07/3月の分ー続き-矛盾だらけ-2/)
案の定、3月に入ったら天気が悪くなり雨が続いた。私の当初の予定は4月8日にイスラマバードからバンコクに飛ぶはずでしたが、航空券を買ったバンコクの旅行代理店から、「4月8日のパキスタン航空のフライトはキャンセルなり、本人がパキスタン航空のオフィスに出向くよう」との連絡メールが入っていたのだ。
「こんなことがあるから、やっぱ、いくら安くてもPIAはだめだ。もう2度とPIAは使うまい」と後悔しながら、2月にチトラールに出たさいにPIAオフィスに行き、予定より10日前の3月29日の便に変更してもらった。6ヶ月の往復切符だったんで、それ以外に選択の余地がなかったのだ。
29日のこの便に乗るには、チトラールからは10日前の、週に2便しかないイスラマバード行きに乗れねばならない。これが欠航した場合は、今も工事中で週末だけ通れるラワリ・トンネルを通って陸路で行くことになる。
3月の雨は、昨年と同じく隣の台所兼紙漉き場を雨漏りで池と化し、洗濯物は溜まるは、久しぶりに紙すきをしようとリサイクルの紙を煮込んで仕込んでいたものも手がつけられない。第一、ひどい雨で発電所の水路の大部分が決壊して電気がないから、パルプとリサイクル紙を混ぜるミキサーも使えない。やっと数日間電気がついたときに、紙漉きをやったけど、板に貼った紙がなかなか乾かない。
そうしてるうちに、偏頭痛を伴う吐き気で3日間寝込んでしまった。大方回復したのは出発する前日。運が悪いことに、それまで2カ所ほど決壊していて、そこまでは車が通っていた道路が、前日に広範囲に渡って壊れてしまい、麓のアユーンの町まで歩かなければならないはめになった。
山に住んでるといっても、最近は村の中をちろちろ歩く程度、その上病上がりで人工股関節ときたら、うーん自信がない。しようがない、工事用の一輪車に荷物を乗せて、用務員のザルマスに押して運んでもらうことにした。ひょっとして私が歩けなくなった場合にも坐れるように敷物も用意した。
村を出た当日は天気が回復して割合足取りも軽く歩けた。しかしチェックポストの下流辺りから左足の脛が痛くなり、最後は何年ぶりかに折りたたみの杖を出して使うことになった。道路は思った以上に壊れていて、車が通れるようになるまでには時間がかかりそうだ。路肩がひび割れてさらなる決壊が起こる箇所がけっこうあった。しかしながら、麓の町まで3時間半、自分の足で歩けたことは達成感があり嬉しくもあった。
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増岡修一 (土曜日, 19 4月 2014 10:50)
3時間半歩いたとは凄い。道の状態は悪いのだろうから速度4キロ/時として総距離15キロ程度ですかね。エライ、エラカッタ
2014/04/19