アベコメミクス、活動費に大打撃

2014年11月22日

 10月26日に日本を出て、べトナムのハノイ、フエ、ホイアン、バンメトート、ホーチミンと寝台バスで南下し、カンボジアのプノンペンに陸路で入り、タイのバンコクまで再び陸路で入り、先日のブログで書いた通り、コロンボ経由でパキスタンのカラチに空路で到着。そして翌日イスラマバードに飛び、今は友人宅に荷をおろしてほっとしている。

 とはいえ、心からほっとできないでいる。理由は円の両替レートの暴落である。私はもうだいぶ前から、日本で円をドルに換えることはせずに、東南アジアもパキスタンでも円を直接現地の通貨に両替していた。私が使う微々たるお金なんて何の影響もしないとはわかってはいても、わざわざドル市場に加担したくないと思う気持もあったからだし、円が高かったので、どこに行っても両替に関しては悪い思いはしなかった。


 しかし、今回の東南アジアの旅では、毎日円の価値が下がっていき、両替して手元にもらえる現地のお金が少なくなり、金銭に関しては貧乏(心は豊かじゃ)なこちとらは、ひしひしと現地の物価が高く感じられ、打ちのめされながら旅をしていたのである。それでも旅をしている時はまだ非日常という気持があるので、少しは許せる部分があるのだが、これからルンブール谷で活動し生活するパキスタンでは意味合いが異なる。


 3日前、カラチのジナー空港で両替したときは1万円が8640ルピー(ふつう空港は街中の両替屋よりレートが少し低い)、翌日は8600を切り8500ルピー台になった。今日、イスラマバードの両替屋に電話でレートをきいたら、少し取り戻し8600きっちりだという。ちなみに去年の今頃パキスタンで両替したときは、いくらだったでしょう?1万円で1万700ルピーもらえたのです。1万円の両替で2100ルピーも差があるのです。

 

 今期最後と来期の活動のために、30万円ほどを両替しようと予定しているが、昨年だと30万円で321000ルピーだったのが、今年は258000ルピーにしかならない。なんとその差額は63000ルピーにもなる!これは私たちが教育促進として支援しているルンブール小学校の教員ヤシールへの月給の6ヶ月分以上になる額だ。

 レートが上がり下がりするのはある程度は致し方ない部分もあるが、こんなに急激にやられると、私たちの活動も萎んでしまいそうだ。元気がなくなる。


●集団的自衛権の閣議決定も撤回してほしい

 そうでなくとも、カラーシャ谷があるカイバルパシュトゥンクワ州の治安はまったく良くなっていない。今年2月にはタリバンから「カラーシャを攻撃する。彼らは酒を作ってムスリムに悪影響を及ぼしているから」という声明文の入ったビデオがどこかのテレビ局に送られて大騒ぎになった。幸いその後何も起こっていないが、外国人ツーリストは護衛のポリス付きでしか谷に入れない状態でめったに来ない。以前のような活気はない。


 私は旅行者でなく住民ということで、タリバンがアフガニスタンから山越えしてくる可能性が低い冬の間だけ、どうにかこうにかルンブールの自分の家(世界に自分の家はここしかない)に住んでいるが、これでアベコベ首相が集団的自衛権を行使することになって、自衛隊が米軍にくっついて世界のどこでも行くようになったりでもしたら、さらに海外に住む日本人に対するセキュリティは厳しくなると思う。

 

 パキスタンでは政府以外の国民はほとんど米国が嫌いだ。アフガニスタンから国境を越えて、無人機爆撃して一般国民がたくさん犠牲になっていることもその理由だし、だいたい、911テロの後にアフガニスタンに空爆した後から、どんどん治安が悪くなり、今も良くならない。住みにくいパキスタンにしたのは米国だと言う。


 そう思われている米国と過度にくっついて、わざわざ戦争をしに行って何の意味があるのだ?治安が不安定な場所に住んでる日本人のことも考えてもらいたい。もし日本が米軍と一緒に戦争するようになれば、確実に日本人がテロに会ったり、拉致されたりするリスクは高まる。「日本国民を守るため」とおっしゃるなら、即、集団的自衛権の閣議決定を撤回してほしい。米軍を守る前に日本人を守ってほしい。