2017年6月初め
ジョシの祭りが終わり、そろそろ日常生活を始めようかという時に、発電所の発電機が壊れてしまい、修理で10日間ほど電気なし。水道の水も、私が村に帰ってからずーとチョロ
電気がないなら、電気が要らないミシン縫いの作業をすることにしよう。あまり残っていなかった在庫の品物を古庄さんに買ってもらったので、今はほとんどなくなってしまった。少しずつ補充していかなくてはならないこともある。といっても、近年はジョシの祭り以外、外国人旅行者が訪れなくなったので、一階のライブラリーにあるクラフト展示棚も空っぽのままだし、だいたいがクラフト作業の村の女性たちもそれぞれの理由でなかなか来てもらえない。
リーダー格のグリスタンは麓の町アユーンのファミリー・プランニングの事務所に月給1万3千ルピーで再就職して週に3日ほど通っている。帰りの車がない場合は知り合いのムスリム家族のところに泊まっている。仕事自体は大したことはしていないようだが、事務所にいるだけで単純計算で1日千ルピーになる。車は父親所有のピックアップに乗れば無料だ。
片や私がやってるクラフト作業は時給80~90ルピー払うのがやっとの状況。仕事の内容にもよるが、時給百ルピーぐらいは払ってあげたいが、そうするとクラフトの単価を上げないと活動費への利益が出なくなる。しかし彼女たちの技術はまだ伴っていないのでそんなに単価を高くできない。
手の器用なルビザールは二人目の赤ん坊がまだ1歳3ヶ月なので無理だし、手が早いマチリシャーニは末の子が離乳しているが、畑が忙しくて今の季節は無理だ。ということで、やっぱり私一人でコツコツ始めるしかないということになる。
ジョシの祭りが終わってからこれまでに、クルミのストラップ30個、ショッケック(編み紐)を縫い付けたコースター4枚、ぺったんこペンケース3個、手すき紙のしおりを10枚作った。日本にいる間は全く作らないので、手順を忘れるし、そうなると女性たちに教えることもできないので、自分で全ての工程をやる作業は必須なのだ。
昨日入ったばかりのニュースでまだはっきり確認してないが、「民族衣装センター」プログラムが始まり、ルンブール谷で20人の女性が任命されたらしい。仕事はカラーシャ衣装を2着縫い、頭飾りを作り、作った後は本人がもらえるらしい。その上に16000ルピーもの賃金が渡されるということ。ちょっとそれはあんまり虫のいい話ではないか。その20人もどうやって選ばれたのか知らないが、収入源がない家庭の女性などを考慮していないことは確かだ。
何のためなのか意味不明の、不公平なプロジェクトが多くて、そういうものには振り回されたくないのに、このプログラムに関しては、私たちが、カラーシャ伝統の織りや縫いを取り入れた実用的なクラフト小物を開発し、村の女性たちと一緒に作り上げていく、それでいて元来のカラーシャの生活に悪影響をかけないように、1日2時間の作業、賃金も男性の日雇いレートや物価、そしてクラフトの売値を考慮しながら設定しているのに、外から何やらわからない援助プロジェクトが大金とともにガガーとやって来て、私たちがやっていることも壊してしまいそうな気配だ。嫌な世の中になったもんだ。