うちの村の若者Zがムスリムになったという。ここ一ヶ月の間にルンブールの男女5人の若者がムスリムになっている。毎年1、2人改宗する者はいるにはいたが、こんなに短期間にまとまってだと、どうしたことかとみんなも心配している。
Zの回収は、昨年12月のチョウモス祭りで娶ったビリールの妻が、下流の村のカラーシャ男性の家に食事の招待を受け、自分を連れていかなかったことに怒ったのが直接の原因であるらしい。でも妻は舅(つまり彼の父親)と一緒に行ったのでそんなヤマシイことはないはずだ。
前々から思っているように、カラーシャは単純、短絡的で後先のことを考えない。かっときたところに目の前にムスリムからの祝い金をちらつかされたら、その勢いで飛び込んでしまったのだろう。
ムスリムになったら、これまで育てて来てくれた親が悲しむだろうとか、カラーシャは基本ムスリムと一緒に住めないので村を離れて家を建てねばならないが、家を建てる器量が今の彼にあるのか、まず第一にあのいたずら坊主で勤勉からほど遠いZが、日に5回お祈りができるのか、毎年一回一ヶ月間続く断食ができるのか、ワインやタラ(焼酎)を断てるのか、そういう諸々のことをちゃんと考えれば、彼にとってかなりの困難を強いられ無理だとわかるはずだ。後からいくら後悔しても、ムスリムからカラーシャに戻ることはこの辺境の保守的なチトラール地方では不可能なのに、全くばかげた話だと思う。
結婚したての嫁さんは、怒った親が実家に連れ戻したという。
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