チョウモスをふり返る

 例年通り、チョウモスは12月7日のサラザーリ(浄めの儀礼に使うネズの枝を山から下ろして来るという意味)で幕を開けた。

神殿の掃除

 日本人だったら、まずはこの初日に向けて村、神殿、家を掃除するところだが、カラーシャは先祖の地からいらっしゃるバリマイン神が到着する前日までやらない。普段からきれいに掃除してあったら、それでいいだろうが、最近ようやく各家の周りだけ掃くようになったものの、道、畑のわきは、お菓子のアルミ製袋だらけだ。特に神殿の前や内のゴミの凄まじさはギョエーと慄く。

 

 チョウモス3日目はチューインナーリ。数日後に少年たちが神殿の壁や柱の動物の絵を書き直す筆を作るために、娘たちが山からチューインの葉や茎を探して歌いながら神殿まで持って来る。神殿では超聖なる期間に通過儀礼を受ける子供の父親たちが巨大な三つの鍋に赤い豆を煮ている。煮えたら、クルミと一緒にルンブール谷のカラーシャ全世帯に分配するのだ。今年は16人の子供たちが儀礼を受けるので、豆の量も半端ではない。子供の成長をみんなが見守り、願いや喜びを歌にし、踊りで表現し、獲れた作物をみんなにシェアするこういった伝統的な行事はいつまでも継承していってほしいものだ。

 

 しかし、その舞台となる神殿がゴミだらけとは、美しい伝統行事も台無しになる。そこで、私はヤシールをけしかけて、その場で神殿の大掃除となった。ヤシールは学校の教員なので、子供を動員するのはお手のもの。あっという間に神殿は清々しいカラーシャの魂の拠り所となったのです。

写真:左:普段の神殿 右:掃き掃除をする子供たち

 

めまぐるしく変化するファッション

 近年の娘たちのファッションにギョッとしてしまうのは私だけだろうか?何か、どんどんイスラム風に変化してきているように思える。

 

 

外国人旅行者

 

 パキスタンの治安もかなり回復したようだし、ラワリ峠のトンネルも通じたので、今年のチョウモスには近年にはないたくさんの外国人ツーリストも訪れた。バラングル村唯一のゲストハウス、「サイフラー・ゲストハウス」には英国からのツアー、スイス人カップル、比奈子さん、毎年春祭りに来るティムなどで満室近くになった。ボンボレットのブトー・ゲストハウスにもフランスからのツアー客で満室だったとか。比奈子さんは宿泊はゲストハウスだったが、チョウモスの行事はほとんど私と一緒に親族たちと過ごし、ツーリストたち以上に祭りの体験をされたかと思う。

 今年のチョウモスではワインを飲んで、火付け役で踊って扇動したりして、面白かった。したがって風邪をダブルで引いてしょぼくれていた昨年のよりは、よっぽど楽しかったと言える。