(2020年1月〜2021年2月)活動だより

 

 

 昨年(2020年)は、コロナ禍で日本への一時帰国もキャンセルして、私用で数日間イスラマバードとペシャワールに行っただけで、久しぶりに一年を通してカラーシャの谷にいたことになります。

 パキスタンのコロナ感染者は今年の2月初めまでで55万3千人、死亡者は1万2千人となっています。昨年3月21日から夏の間は、チトラール地方はロックダウンとなり、ディールとの境界にあるラワリ・トンネルも封鎖され、学校も休校となっていました。その頃の6月末がパキスタンのコロナ感染がピークで、ペシャワールやイスラマバードの私が知っている方々も感染されていて、チトラール地方でも感染者が出ていました。

 ただ、衛生観念も低く、空気は年中乾燥し、しょっちゅう超密の空間で冠婚葬祭の行事を行なっているカラーシャの谷での感染は、ありがたいことに今のところありません。ここに一人でも感染者が入り込むと、あっという間に全員感染してしまうと私個人的には大変危惧していましたが、このまま乗り切っていけそうです。

 

 コロナ禍の影響はさしてないルンブール谷ですが、環境破壊の被害は容赦なくやってきます。8月にバラングル村を襲った土石流は、7年前と全く同じ土砂被害を「AKIKOの家」にもたらしました。(詳しくは2020年9月2日投稿の私のホームページ・ブログをご覧ください)家屋の裏に山盛りになった土砂は応急処置をしただけで、まだ取り除かれないままになっています。今後の土石流の対策として、原因となる裏山にチェックダムを築く、「AKIKOの家」敷地の境に強固な石壁を築くことが必須と思われますが、私たちの活動費ではとうていできない相談で、どうしたものか悩んでいます。

 12月に、私めがこれまでの行ってきた業績が日本とパキスタンの相互理解の推進に寄与したことを称えて、外務大臣賞を授与するとの知らせがあり、3月に日本大使館で授賞式が行われます。その際にこれらの必須工事の援助を大使館から受けられれば嬉しいのですが、どうなりますことか。

 

写真上 :生後6日目の赤ん坊の 儀礼を執行する娘たち

 

AKIKOの家

キラン図書室はさらに盛況

 

 コロナで2020年の3月から学校はほとんど休校で、生徒たちは勉強をしていません。そういう中、キラン図書室(キラン・ライブラリー)は学校代わりの勉学の場として、新たに重要性を増してきました。元来、読み書きは学校で習い、図書室では各自好きな本を読む、あるいは教員のヤシールや高学年の生徒が物語を読みきかせをする。時々は紙芝居や教育ビデオを見せる。ということでしたが、今年の元旦から春まで、麓の町のNGO・AVDPの低学年への基礎教育支援の一環としても、我々の図書室を使うことになりました。一月に2500ルピーの家賃も払ってくれるそうで、図書室の本代その他の備品使う予定です。

 

 

雪除けの庇

 一昨年の12月に取り付けた図書室入り口の雪除けの庇はあろうことか、翌月、2階のトタン屋根に積もった厚い雪の層が一気に庇に落下したために、無残にも壊れてしまいました。幸いこの冬は雪が少ないので庇がなくてもどうにか大丈夫ですが、いずれ雪よけが必要となるでしょう。

 

 

創作クラフト活動

 こちらもコロナでクラフトを買ってくれる外国人旅行者が訪れないので、村の女性を巻き込んで新しくクラフトを作っても賃金分が出ないし、ストックばかり貯まってもしょうがないと、相変わらず私一人で気分が向いたら、作り方を忘れない程度に作っています。

 そんな中、チトラールの町に新しく設立された、地方の伝統的技術の研究と開発、女性の現金収入への支えを基盤とした「マラカ・センター」の委員会の委員になりました。このセンターはスコットランド人のデザイナー、アディル・イクバル氏とチトラール女性マンスナさんが中心となって活動する組織で、カラーシャ女性の人形、チトラリ刺繍のバッグ等の質の高い物を作っています。将来的に私たちのクラフトも置いてもらえるかも知れません。ただコロナ禍でアディル氏がチトラールに来れないので、なかなか話が進みません。

 

写真左:カラーシャドレスの模様を取り入れた新製品。

写真右:編みひもを縫い付けた新製品の小物入れ。 

写真下:マラカ・センター。この日は視察の方々のために特別に製品の展示がされていた。

 

医療支援

 バラングル村には、ポリス、教員、病院の掃除夫などの雇用、ヴァナジール現金収入支援金などで、今や収入が安定している所帯が多くなっている。ただし支援金のリストに漏れて収入がない家庭が一軒あり、その家族の医療支援をしています。

 

教育支援

 チトラール大学の優等生シャキール・カーンは自ら、コロナ禍で学校に行けない村の生徒たちに教科書にそった勉強を教えていました。そこで彼の大学の教科書購入(2万5千ルピー)の一部を支援しようと思っていたところに、土石流が起こり、彼の家族のゲストハウスが大被害を受けました。家族からの教科書代捻出が困難になったので、全額を支援しました。

写真:中高生に授業をするシャキール・カーン

 

コロナ禍で景気がさらに下り坂の日本の皆さまに頼むのも

大変心苦しく思いますが、

「AKIKO の家」の活動資金もそろそろ底をつきつつあります。

私自身はずっと無報酬でやっています。

しかし、主流の活動となっている「キラン図書室」の運営費、

その他の経費はどうしても必要になります。

もし少しでも余裕がありましたら、支援金のご協力をお願い致します。

もちろん、ご意見、ご提案も大歓迎です。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

 

支援金については、下記までメールをいただけるとありがたいです。

 

●「AKIKOの家』会計ボランティア・静江

shizue_akikohouse@yahoo.co.jp

 

● ルンブール福祉文化開発組合・代表 /AKIKOの家」運営担当 わだ晶子                                                                                   akkowa25@yahoo.co.jp