シャラービラヤックのお絵かき/ Drawing class of Sharabirayak

  12月12日はクタルムーの日/Kut'ramuである。シャーラ(野生の山羊、アイベックス)やビーラ(雄山羊)、その他、カラーシャの牧畜に関わる動物の繁殖を願って、各家庭で小麦粉でそれらの姿を作る行事。

 そして少年たちは神殿の壁に新しく山羊たちの線画を描く。墨はクルミの皮を焦がした粉に煤を混ぜたもの、筆は先日チューインナーリで女性たちが集めた茎。

 その練習として、二日前の12月10日に、このところ金曜日に低学年の子供たちを集めて開いていたお絵かき教室では、山羊の絵を描いてもらった。

 

 驚いたことに、子供たちはクタルムーの行事のことを知らなかった。

 

 十数年前の一定期間、日本パキスタン協会を通じて美穂子寄付金の支援金で、カラーシャ唯一の語り部に毎朝授業が始まる前に20分ほど、伝統行事のことや先祖の話などを生徒たちに語ってもらうプロジェクトを行っていたが、もうその語り部も亡くなった。

 

  電気がつき、薄暗いランプの明かりの下で、親やお年寄りたちが昔話しをして聞かせる時代も終わり、家庭内の会話も少なくなっている。こうやって、伝統文化も少しずつ消えて行くのだろう。

 

 お絵かきが終わったら、休みで実家に帰って来ているチトラール大学の学生ジャミールが、私たちが作った「語り部が語ったチョウモス」の冊子を子供たちに読んで聞かせた。