3月半ばにルンブールに帰ってきて、今は中止になった草の根プロジェクトの件で忙しいこともあり、そのまま3月いっぱいはキラン図書室を休館して、4月にキラン図書室をスタートさせた。学校も3月から始まっているので、学校の後に午後にまた勉強しに図書室に来る生徒は少ないだろうと思ってはいたが、少ない人数でも、特に学力の足りない生徒たちに、せめて読み書きの基本中の基本をヤシールに教えてもらうだけでもいいと、ここは私の判断で開けることにしたのがよかった。
4月初めは10名以下の生徒しか来ていなかったのが、そのうち徐々に増えてきた。3月から学校が始まっているとはいえ、断食の月と重なり、学校は普段より2時間ほど短い授業だそうで、その上春休みや試験期間、断食明けの5日間のイード・ホリデイもあって、充実した授業は受けていないと考えられるので、生徒たちが図書室で勉強や読書をするのは歓迎以上のもの。上級生たちも学校での勉学が十分ではないと認識して図書室に来るようになった。多い時は冬の期間のように80名もの生徒たちが来る。
教える方もヤシール(元カラーシャ小学校の教員)や青年教室のアクバル・ブトー(元カラーシャグロム村のコミュニティ小学校の教員)などの教員経験者だけでなく、シャキール・カーン(カレッジの教員資格を取得して待機中)、ファジママット(今年からペシャワール大学へ入学)などが率先して年下の生徒に教えにきてくれる。さらに、これまた数年前に教員になったうちの村のアジズがルンブール小学校に転任してきて、彼は小学校で教えた後、図書室にも来てくれて教鞭をとってくれたりしている。
アジズは以前手すきの紙作りにも関わってくれていて、丁寧な作業で印象深かったが、今教員になり、結婚して息子も生まれ、安定した生活の中、ボランティアで図書室に来る生徒たちに勉強を教えてくれているのを見ると、「良い大人になったもんだ」と結構感慨深いものがある。