8月15日、ルンブール谷カラーシャグロム村のダウードの母さんが亡くなった。同族の人の話では90歳だったらしい。
カラーシャグロムはうちの村から見えるところにあるが、急な坂(石段が造られたが、半分壊れている)を登らなければならないので、
滅多には行かない。だからダウードの母さんが病気だということもよく知らなかった。
カラーシャグロム村住民のお葬式は、村の下にあるバテット村で行われる。亡くなった当日は同族出身のボンボレット谷やビリール谷に嫁いだ女性や親戚が集まる。翌朝にバテット村に遺体が置かれ、ルンブール谷の各集落から人々が弔いに駆けつける。男性の場合は太鼓が叩かれ、歌と踊りで祭りのように盛り上がるが、女性の場合は遺体の周りで親族が想いを託した歌を歌うだけで、ひっそりとした感じだ。
同日の夕方にはボンボレットやビリールからも弔いの人々が大勢やってくる。そうするとチーズと平たいパンが別谷からの弔い客に出され、同谷の全家族にもチーズとパンが配られる。
翌々日の朝に遺体は埋葬され、その後にまず別谷の弔い客に、山羊肉、ギーをかけた濃い肉汁、平たいパンというカラーシャでは最高のご馳走がふるまわれる。その後にルンブールの全家族にも同じものがふるまわれる。この夜から7日間は夜通しで谷の人たちが死者の家に集まり、7日目に喪開けの行事が行われるが、この葬式では夏の祭り、ウチャウが近かったので、3日目で喪明けの行事が行われた。
弔い客にふるまわれた後の山羊肉の骨がたくさんタローに届けられて、タローにとってはも葬式は特別な日となる。ただしタローは少し乾燥した骨が好きなのですぐには食べないので、ベランダに新聞紙を敷いて骨を広げて乾かす。あれからもう10日以上経っているが、タローは今も美味しそうにガリガリおやつ代わりに食べている。