チョウモス始まる / Cawmos Festival has started

 12月7日、カラーシャの暮らしの中で、宗教的な要素を含む重要な行事が2週間にわたって繰り広げられるチョウモス祭が始まった。5月半ばに行われる春祭りジョシの後に畑のそばにある夏の家に移って暮らしていた世帯も、この日村の家に戻るので、村は一挙に賑やかになる。

サラザーリと新築祝い/Sarazari and housewarmings

 この日は今年新築した家は、家の守り神ジェシタックを迎え入れる儀礼(山羊の血を捧げる)をして、家族はこの日から新築の家に移り住む。今年はうちの村では2軒、1軒は古い家を解体して新築、もう1軒は分家して下手の村に土地を買って新築した。村の住民は砂糖や菓子を持って、近い親戚は寝具やティーカップセットなどを持ってお祝いに行く。

 

 夕方になると、放牧場で作り溜めておいたチーズを開け、家族だけでなく、嫁に行った近い一族の女家族にもタシーリ2枚にチーズを挟んだものを分け届ける。

 

  夜9時過ぎ、バラングル村の新しい広場には大きな焚火が焚かれる。下手の村から長老を先頭に男性たちが一列を組んで聖なる歌を歌いながらやってくるはずだったが、下手の長老たちは姿を見せず、うちの村の数人の男性とその後に子供たちがくっついてるだけだった。

 

 列が焚き火の周りを周り、輪が解けると、手拍子に合わせて歌や踊りがくり広げられる。今年は新築祝いに来たビリール谷やボンボレット谷からのたくさんの若者が、その大半はワインや焼酎を飲んで酔っ払っていて、手拍子の歌があちこちで合わず、踊りを踊るつもりだった私もしらけて止めた。

チューンナーリの日/ Day of Cu'inari

 12月8日はゴシュサーラス(ヤギ小屋を浄め、小屋の守り神ゴシドイがスリザンに交代する)。これは男の役目なので、女たちは家で掃除、川で洗濯。

 

 12月9日はチューインナーリ。村の女性たちは「AKIKOの家」のまん前のジャマットの庭に集まり、チョウモスの歌を数々歌う。

 

 同時に持ち寄った乾燥桑の実とクルミが参加者に分配される。そして娘たちが山崖に生える草チューインとススキのような草の茎を集めて、集まった女たちに配る。それを手に、チューインナーリの歌を歌い踊りながら、ジェシタック神殿に向かう。

 

 この秋、神殿は政府の援助で、外部の請負人によるリノベーション工事が行われた。石壁にセメントがはられ白いペンキが塗られ、彫刻が施された柱にはポーリッシュが上塗りされ、模様入りの扉も新しく設置された。ここまではいいとして、何と、床に大理石が敷き詰められたのだ。何を考えてるのか、意味不明だ。

 

 神殿は主にチョウモスの行事の中ではチューインナーリ、クタルムー、マンダイック、シシャオ(女性の浄めの儀礼)、それと葬式の時に使われる。チューインナーリでは大鍋で豆を煮る、シシャオもクルミパンを焼くので、大理石が敷かれた床ではできなくなり、今年から外でやらねばならなくなった。バカかよ。雨や雪が降ったらどうするんだよ。

 

 それにみんな泥だらけの靴で神殿に入ってくるわけで、あっという間に床はぐちゃぐちゃ、そして大理石だから滑りやすく、踊るのもままならない。高価な大理石を敷くよりも、屋根の雨漏り対策をしてほしかった。

 

 とにかくも、女性たちは歌いながら神殿に入り、チューインと茎を入り口に置く。そして少しばかり神殿で歌い踊る。元来は神殿の中央に3つの大釜が置かれ、今年取れた赤い豆がグツグツと煮られているが、先に述べたように、大鍋での豆煮は外でやることになった。

 

 豆はこの数日後行われるゴシニック(子供の通過儀礼。七五三のようなもの)で儀礼を受ける子供の親たちが持ち寄って煮ているのだ。煮えたら、ルンブールの谷中の家にクルミを添えて配られる。例年は9日はバラングル村、10日には下流のバテット村で同じ行事が行われるが、今年はゴシニックで客にもてなされる果物の収穫が全くダメで、取り止める家族が多かったので、上流と下流のゴシニック家族が一緒に行った。

 

 *実験的に短い動画をアップしようと試みたが、サイズが大きい、規格が違うなど、障害が多々あってできない。オーディオだけでもと思ったが、やっぱりダメ。動画を撮ってたので、写真がほとんどない。動画から静止画をキャプチャーする手段があるはずだが、これまたうまくいかない。忙しい時なので諦める。