クタルムーの日/Kut'ramu
12月12日、クタルムーの日。たいていのカラーシャの行事は午後の遅い時間から始まる。各家ではチーズを混ぜたクルミパンが焼かれる。これは翌日に嫁に行った近い一族の女性たちに配られる。
クルミパン焼きが終わった夜、男家族が小麦粉を硬く練ってシャラービラヤックを作る。形を作るのも以外と難しいが、これを焼くのがさらに難しい。野生山羊、雄山羊、雌山羊、仔山羊、雄ヒツジ、牛、番犬などを作り焼き終わると、ジェシタック女神の聖域にある棚に上流に向けて並べられる。
神殿ではサーラスの枝でジェシタック女神が浄められた後、少年たちが壁や柱に新しく山羊やアイベックスの絵を描く。
神殿ではサーラスの枝でジェシタック女神が浄められた後、少年たちが壁や柱に新しく山羊やアイベックスの絵を描く。
12月13日はマンダイックの日/7th day of Madahik
これは先祖の霊がお帰りになる日で、日本のお盆のようなもの。
まずは、今年葬式を出した家に、果物やご飯、シーシャ(麦芽の粉を練り煮たものにクルミの油をかけたもの)などを持って訪ねる。今年はうちの村では2軒の葬式があったので、そちらを訪ねた。他の村ではカラーシャグロム村2軒、グロム村4軒、コットデッシ3軒、チャットグル1軒と例年以上に多かったが、私は近い親戚でもないし、行きたい家は遠かったので、失礼させてもらった。
訪ねた家ではそこの家の、あるいは別な家から持ち寄られた果物、肉入りご飯、シーシャなどがもてなされる。
午後4時過ぎ、各家はご先祖さまへのお供え物ー秋に獲れたりんご、梨、ぶどうなどの果物、畑で獲れたカボチャを灰で蒸したもの、小麦粉のタシーリ、チーズにクルミをすり潰したものを混ぜたもの、クルミパンなどーを持ってジェシタック神殿に集まる。
この供え物をすべてご先祖さまに食べていただくわけでなく、神殿の入り口の大きな細長いカゴに少し入れ、残りは後でみんなで分配する。
外ではご先祖さまへの迎え提灯ならぬ、細い火付けの木で小さな迎えやぐら(コット)が組まれる。死者のシンボルである寝台の形も作られ、神殿の入り口に置かれる。
グロム村のマハンデオ(ルンブールの守護神)に浄めの煙が上がると、お供え物が入ったカゴが外に出され、迎えヤグラに火が付けらる。
全員、神殿の中に入って、扉が閉められ、手に持った火付け木に火を付ける。そして外でご先祖さまがお供え物を食べてる間、5分間ぐらいだが、おしゃべりも止めてじっとしている。(けっこうしゃべってる人もいるが)5分たったら、手元の火のついたツケ木を大きな中央の焚火の中に投げ入れる。
のがこれまでの流れだったが、今回、リノベーションで大理石の床には、中央の大きく天井の開いた下には焚き火の場がなく、隅に2か所、狭い焚き火の枠が作られているのみ。そこにみんな一斉に手にしていたツケ木を投げ入れたので、煙の逃げ場がなく、神殿はもうもうと煙で覆われ、人々はは咳き込んで急いで外に出る始末。
なんということだ。大理石の床はお供えのカボチャの残骸やら、こぼれた果物などでグチャグチャだし、こうなることはわかっていたのに、どうしてお金かけて大理石の床なんぞにしたのだ。
パンやチーズ、果物などを持って来た平たいカゴに、みんなの分を分け合った物を入れて家に戻る。長いカゴに入った先祖様へのお供え物は、カラーシャたちは食べず、近所のムスリムがもらって帰る。